大阪都構想は再否決に
1分で分かるニュースの要点
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大阪都構想は2度にわたり否決
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松井市長は政界から引退へ
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大阪市にはメリットの少ない改革
大阪都構想が2015年の住民投票に続いて2度目の住民投票でも否決されることとなりました。この結果を受けて、政治生命をかけていた松井市長は政界からの引退を表明しています。こうした結果が生じた原因には大阪都構想が大阪市にとってはメリットの少ない改革だったことが挙げられます。
5年越しの住民投票も最否決に
2020年11月1日、「大阪都構想」を巡る住民投票が行われ、反対多数で否決されることとなりました。 2015年に行われた住民投票においても賛成49.6%、反対50.4%と僅差で否決されていました「大阪都構想」でしたが、5年越しの住民投票においても1.2%ポイント差でまたしても僅差で否決されています。 大阪維新の会が5年越しに住民に対して賛否を尋ねた大阪都構想でしたが、2度にわたり大阪市民からNOを突き付けられることになりました。
松井一郎市長は任期を全うし政界引退へ
この大阪都構想に「負けたら政治家として終了」と政治生命をかけていた松井一郎市長は2度目の否決を受け、任期満了での政界からの引退を表明しています。 また、大阪維新の会について新しい党運営を行う必要性があるとして、大阪維新の会の代表を辞任する意向を固めています。 維新の会の創始者橋本徹氏に続いて長らく維新の会を支えてきたトップの引退によって、維新の会は大きな変化を迫られることとなりました。
二度の否決、大阪都構想の問題点とは?
松井氏が政治指名までかけた大阪都構想は大阪市民から2度にわたってNOを突き付けられることとなりました。 では、大阪都構想の何が問題だったのでしょうか。なぜ、僅差とはいえ2度も住民から支持を得ることができなかったのでしょうか。
メリットの少ない特別区による分割
大阪都構想の最大の焦点として二重行政の解消が挙げられています。 これまで大阪では知事と市長、府庁と市役所が協力することなく、非効率的な投資を行ってきたとされています。 大阪都構想では大阪市を廃止して4つの特別区にすることで、その二重行政を解消することがメリットとして議論されてきました。 しかしながら、大阪府と大阪市のように県庁所在地が政令指定都市となっているところは数多く存在しており、それらの都市において二重行政が問題とはなっていません。 そのため、大阪における二重行政の根本的な問題は大阪市の強い権限にあるのではなく、別の原因があることも議論されています。 このことから特別区による分割によって生じるメリットに対して疑問符が生じていました。
大阪市の財源が全体に流れることで大阪市民には損に
二重行政の解消ではなく、大阪都構想の真の目的として指摘されることが多いのが大阪市の財源の確保です。 行政コスト計算書によれば、大阪府は2388億円の赤字であるのに対して、大阪市は1468億円の黒字となっています。 大阪都構想では現時点で大阪市がもつ広い範囲の権限と予算が大阪府に移行することになります。そのため、大阪市は自治体としての権限を失うだけでなく、大阪市の黒字が大阪府の赤字の補填に用いられることにもなります。 こうしたことから、大阪都構想は大阪市民にとっては損になる改革であるといえます。
大阪都構想が再燃する可能性はあるのか?
大阪都構想の主導的立場をとっていた松井一郎大阪市長と吉村大阪府知事のうち、松井氏は引退を表明しています。 また、吉村知事は「僕たちが掲げてきた大阪都構想はやはり間違っていたのだろう」と誤りを認める発言をしています。 大阪都構想の主導的立場の2人がその主張から退いたため、しばらくは大阪都構想が再燃する可能性はなさそうです。