コロナショックで年金がなくなる？株価の下落で財源の積立金が減少する可能性。

コロナショックで年金がなくなる可能性

1分でわかるニュースの要点

日本の年金運用は税金と積立金で賄われている
コロナショックで財源となる積立金を使い切る可能性
現役世代に回る年金が消失する危険性も

東京オリンピックの延期で大打撃を受ける業界や人々。HARUMI FLAGの今後は？東京オリンピック延期にともない、ホテルや観光、航空会社等の業界では多大な損失を受ける事態となりました。また選手村として利用後、超大型の街づくり計画の目玉になるべく建設された「HARUMI FLAG」への影響も甚大です。各業界が受ける損失は、雇用縮小や業界衰退など、今後の日本経済に影響を与えかねない大きな障壁として立ちはだかっています。

日本の年金は税金と積立金で対応

現在、年金受給対象者に支給されている公的年金（基礎・厚生年金）は、現役世代の国民年金保険料約16,000円や厚生年金保険料（保険料率18.3％）を含む税金や、年金積立金およびその運用益で賄っています。年金積立金とは、次年度以降もしくは将来世代への年金支払いや、株式への運用のために積み立てているお金のことです。受給対象者への支払い等をした後に余った資金を、政府は積立金として貯めているのです。

コロナショックで積立金がなくなる可能性

もし積立金が日本国民への給付金や企業への経済的支援に回ると、積立金自体が底をつく危険性も捨てきれません。コロナショックが引き起こした「オリンピック延期」や「中小企業倒産」による経済損失は、何十兆円にもおよぶ可能性があります。その補填に積立金が回されれば、当然今までの積立額は大きく減少します。さらにコロナショックによる株式市場暴落によって、株式運用に回っている積立金にも影響が出ると考えられるでしょう。

積立金を運用する政府

今の高齢者および将来世代に支給する年金を調達するために、政府は積立金を国内外の債券や株式運用に充てています。積立金の運用規模や運用リスクは、現在どのような状況になっているのでしょうか。

運用額は168兆円規模

年金積立金を実際に運用している組織GPIF（年金積立金管理運用独立法人）によると、2019年度の3四半期時点の運用資産額は168兆9,897億円です。これまでの累計運用結果は75.2兆円のプラス収益になっているものの、これはあくまで2019年半ばの数値です。かつてリーマンショック等で株価が暴落したことを考えると、2020年の状況は決して楽観視できるものではありません。

コロナショックで株価などが世界的に急落

3月27日時点でのニューヨークのダウ平均株価は、21,000ドル代まで回復しました。しかし2月の最大株価が27,000ドル代だったこと、一時期は18,000ドル代まで急落したことを考えると、今後も世界の金融・株式事情は不安定であると考えられます。そんな中、いわば「ギャンブル的な運用方法で公的資金を取り扱っていいのか」、こういった疑問の声は国内でも上がっています。

高齢化が進み現役世代の税金などが減る日本

日本は「超高齢化社会」と称されるほど高齢化が進み、税金を支払う現役世代の負担増および現役世代数の減少が問題となっています。現役世代の税金が減ることは、将来年金をもらう世代にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

受給の年齢がさらに上がる可能性

一説によると政府は、年金受給年齢の70歳までの引き上げを検討中との噂があります。実際に政府は、70歳まで働ける環境づくりについての議論を重ね、「70歳まで働ける制度整備」を、2021年4月より企業の努力義務にすると決定しました。さらには「65歳までの雇用継続」「65歳に定年引き上げもしくは定年の廃止」の全企業での義務化を、2025年より適用する旨が決まっています。ついに日本では、70歳まで現役が現実味を帯び始めているのです。

新型コロナウイルス終息後の動きが重要に

コロナショックによって今後の年金事情がどのように変化するかは、終息後の国内外の経済状況および政府の動きが重要となります。積立金の運用が株式暴落によって失敗に終われば、将来的な財源が消えるかもしれません。そもそも年金積立金を使い切るほどの補填が必要となれば、直近の年金受給世代にすら影響が出る危険性も孕んでいます。

消えた年金記録問題の現在。原因や取り戻す方法とは？日本の年金管理は従来、旧社会保険が行っていましたが、基礎年金番号制度に統合する際に年金記録の持ち主がわからず基礎年記番号制度へ統合できない年金記録が大量にあることが判明しました。年金記録問題はまだ未解決です。一体何が原因なのか説明します。